八ヶ岳南北全山縦走

レースが終わったらしんどいトレランの練習は休みにして、楽しい山遊びに没頭するんだと決めていたのだけど上手く休みがとれなかったり、連続で台風が来たりでろくに山を歩けないでいた。で8月、何をしていたのかというと、空いている時間に家の前の土手を走っていたら、灼熱のハードなランが意外にも楽しくて毎日距離を延ばしていた。そして月間最高走行距離を更新すればロードランニングに夢中になるわけで・・・結局走っていたという。まあ強くなる練習パターンで良いのだけれども、このまま夏が終わってしまうと思えば、山の青い空が恋しくなる。夏の初め清々しい気持ちで歩いた八ヶ岳が最高だったよなぁ。

長い縦走の後に車を取りに戻るのが面倒だったので、山へは深夜バスで行くことにした。山行で公共機関を使うの初めてで旅行気分になれたのだけど、リクライニングの出来ないシートに苦戦しろくに寝れない。それでも早朝四時にはちゃんと登山口の観音平に着くわけで、悲しいかな今さっきまで竹橋でビールを飲んでいた状態のまま暗闇の登山道に突入するはめとなる、こんな出だしでこの先長い道を歩けるのだろうか。
八ヶ岳の南北縦走は昨年もやっているので少しは勝手が分かる。観音平から編笠山をへて権現岳まではたったの5キロしかないのだけれど一気に標高を1000Mも上げ、その後険しい赤岳から横岳でペースを上げようとするとクタクタに疲れて、穏やかに見える硫黄岳付近で足が止まる。自分の走力ではCTは×0.7がいいとこ、南八ヶ岳はとても走れるような道ではない。北に向かう下りも苔の着いた岩の道は歩きにくく長い、距離で考えるよりうんと時間が掛るので、止まって休める時間も無くなる。そんなもので悩みどころが1日目でどこまで行くか。普通なら黒百合ヒュッテが妥当と思われるけど、その場合翌日に北八ヶ岳の全部を歩くのがすごく難しくなる、高見石小屋なら少しはましか。かといえその先の双子池は遠すぎるし…
多分一泊で縦走しようとするからそうなる訳で、逆に夜も歩き続けて一気に走破する方が荷物も少ないし楽なのではないかと思う。なんて言ってはいるが、時間に追われるヒリヒリとした山行を楽しみにここに来ているのは間違いない。

「夕方にかけて積乱雲が発生、雷注意」ヤマテンの予報通り北に続く樹林帯は暗い雲に覆われ、高見石小屋の手前でついに重い雨が降りだしました。小屋のテラスには屋根がかかっていて、雨を避けるようテン泊の準備をする登山者が一気に押し寄せた様子。後から来た自分の場所は無かったのだけど、奥を陣取る10人位のグループハイカーが席を譲ってくれた。お洒落なライトハイカーは今話題のギアを持ち出しては、それにまつわる話で盛り上がっていましたが、何気にビールを飲みながら設営待ちをしていた自分が一番興味深く聞いていたのかもしれない。

どうしたらこんなに濡れるのってぐらい、結露でびしゃびしゃのクロスオーバードームを絞り前日よりも重くなったザックで2日目をスタートする。ヘッデンの明かりで歩く登山道はやっぱり怖い。茶臼山に上がり縞枯山までの稜線は朝の清々しい風で最高に気分がよく、樹林帯の坂を一気に下り、雨池山の狭い急な道を上がれば三ツ岳の取付きとなる。この先は岩の荒海のようで、岩が大きく窪みが深い厄介なルートとなるがスペリオールのグリップのおかげで気持ちよく進めた。岩の道と言えるぐらい北八ヶ岳は岩が連続し、日陰で苔が付く足元はシューズ選びがとても重要だと思う。〝滑らない〟は勿論だけど、岩を指先でダイレクトに掴めるような感覚が得られるスペリオールが最高です。なんとなくロングハイクでは厚いソールが有利と言うけど、急峻な岩を歩く場合はスペリオール、おもいきり激しくガレた道を走る時はティンプと、一見逆のようなシューズ選びをしています。

蓼科山からのスズラン峠へと下山するのはこれで3回目、山行の最後となる道なのですが何時も気になるのは蓼科山の向こう側、尾根の草原にポツンとある赤い三角屋根の建物、そこから白樺湖に続く綺麗な尾根道。調べてみれば気になっていたスーパートレイルの一部と分かった。これは行くしかないっしょ。速足で下山しスズラン峠の駐車場で頭を洗っていたら、わざわざ車から降りてきて「どこを歩いて来た」と聞いてきた人がいた。少し話をしていたら仕事でこちらに来ていて、明日の午後は仕事だが午前中だけでもトレイルランニングがしたい、どこを走ればいいか?との事。自分も詳しくないと言ったが、それでもと言うので八子ヶ峰を通るスーパートレイルを推しておいた。まだ行ったことがないくせに、それだけ魅力的に見えた道なのです。

ビーナスラインの車道をわたりハイキングロードのような坂を登れば印象的な赤い屋根の建物が見えてきます。その建物は『ヒュッテ・アルビレオ』宿泊のできる山小屋でした。時間はおしていましたが、喉が渇いていたのでジュースを買ってすぐに出ようとしたら「中で休んでいいよ」と山屋らしかなる柔らかい感じの管理人さんが席を勧めてくれた。八ヶ岳の主脈ルートからはずれた場所なのに、なぜか登山者を引き付ける不思議な場所。この地にまつわる昔からの話をしてくれ昼過ぎの穏やかな時間をすごしました。またも「どこを歩いて来た」と聞かれ、それなら白樺湖まで1時間もかからず行ける、湖畔にある温泉に入っていくといいと言われた。山地図でCT2時間と分かっていたけど「そうおっしゃるなら」とこの旅の最後らしく白樺湖へ続く草原を駆け下りて行きました。

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