走る距離は72キロとなり、自分の出場したレースのなかでは最高距離となる。
トレイルランニングにおいて100キロ越えがロングならば、スパトレイルはミドルレースの位置付けとなるのでしょうか。それでも自分にとっては果てしなく長い、後半のイメージもつかないほどのレースとなる。そして分からないこともたくさんあります。
とくに走行ペースがわからない。心拍計に任せるか、勘にまかせて適当に走るか・・・ともいかず、とりあえずは目標タイムを決めることにした。
昨年のリザルトを印刷して上位から順に見て行き、こともあろうに上位10%の部分に目が止まりました。
_10時間を切るタイムに赤線を引いた
赤線より上の時間で各エイドに到着する遅めの時間をマークしていき、集中する部分が平均到着時間となる。それをスタートからゴールまでのタイムテーブルとした。トレラン2年目の自分からすると、生意気で人には言いづらい、挑戦的な目標となります。
スタート~A1野反湖パークランド
前日から一緒に行動した友人4人と会場に入ったのは、スタートの1時間前。
手荷物を預け、すべての準備が終わっても時間は余った。スタートゲートからの長い列のどこに並ぶか考えながら、さんざん悩んで‶これだ〟と決めた装備も不安になる。
「シェル着て走る?」
シェルもレインもパックに入っている、ジェルも時間で2本飲めばいい、登りを走るために毎日トレッドミルに乗った。大丈夫準備は万全のはず。
スタートゲートから沿道の応援に送り出され、温泉街の坂を上がり、しばらくして林道に入っていく。ここから11キロの緩い上りが続き、その先は10キロを下る最初のパート。
タイムテーブルでは2時間20分の区間。とにかく抑えて心拍が上がらないように注意しました。仲間と並走した下りのパートがいつもの練習のようで最高に楽しかった!
A1到着2:19 (予定2:20)
A1~A2 野尻湖キャンプ場
予定通りの時間でA1エイドを出る。1キロほど下り、川を渡渉すると登りのトレイルとなる。
前日には警報が出るほどの雨が降ったので当日も心配されたが、今日は大丈夫そうだ。
キラキラとした木漏れ日が降り注ぐトレイルは、600m上にある野反湖まで続きます。
登りは60分(10分/k)湖畔を30分(6分/k)とし無理はないけど、長く続く登りはやはり疲れる。
GPSウォッチの標高が1500mを越えるころ、景色が開けこれまでと雰囲気が変わった。ロードの先で同時にスタートした52K部門と分岐で別れ、野反湖を一周するパートへと入って行く。ウッドチップが敷かれたフカフカの湖畔の道を進み、予定通りの時間で第2エイドに着きました。
ここで約35キロ地点となり全体の半分がすぎた。
前半はとにかく抑えるつもりだったけど、コースタイムを意識して心拍は高めで来てしまったようです。温存した体力を後半で爆発なんていう想いもあったが、現状維持のペースがやっと。
A2到着4:13 (予定4:10)
A2~A3 根広ねどふみの里
野反湖西側の湖畔を5キロほど走り、弁天山を登ると一気に600mを下るトレイルとなる。前日のブリーフィングでは〝飛ばしたくなる気持ちを抑え、丁寧に走るのがいい〟とアナウンスされていたので、脚を使わないよう脱力ぎみで走りました。
A2以降はランナーが少なくなり、ずい分と長く感じられたシングルトラックを単独で下った。スタートから同行していたメンバーもいつの間に別れ、前にも後ろにも姿は見えない。
第3エイドのねどふみの里では念入りにストレッチをしていたら、思いのほか時間を使ってしまった。エイドを出る時点でタイムテーブルより10分遅れ。
A3到着5:54 (予定5:45)
A3~A4ふるさと活性化センター
A3からは再び合流したチームメンバーと一緒になり、1人なら歩いてしまいそうな地味な登りを練習さながら淡々と走る。
とにかく疲労を貯めないように注意してきたがいよいよ脚を出すのもキツくなってきました。
補給は大丈夫? 1時間に1~2個のつもりで15個用意したジェルは、パワーバーのフラスコにまとめて入れていて、フタを外すとノズルが開き口元を手で触らずに使える仕組みに感心した。それでも半分は残ったので、補給不足があるかもしれません。
これからは、時間内できっちり補給しよう。
‶世立八滝〟の階段では、人の目などお構い無しで手摺を使い、しまいには両手を階段について四つ足で登った。
A4 到着7:56 (予定7:45)
A4~A5 田代原ザゾンソウ公園
第4エイドに到着した時点で予定10分遅れ。
動きものろまになっていたのでだいぶ遅れたと思っていたが、さほどでもないのに少し驚いた。同時にこれからのゴールまではまだ14キロもあるのにペースを落とせないと思うと途方にくれた。
10時間目標は自分が勝手にやっている事なので諦めることもできたが、一緒に走る高橋君も共鳴するように同じ時間を考えている。そう感じると簡単に歩くことはできません。
呼吸の乱れに反し心拍は上がらない。
A5到着 8:56 (予定8:50)
A5~ゴール
「14:00には出ましょう」
最終エイドについた時点で遅れは6分まで取り戻していた。
A4から登ってからの微妙なアップダウンで足腰は重い。元気に見える高橋君も疲れていると言うが、ギラギラした目はいち早く先を行こうとしている。
ゴールの草津までは距離で8Km、残り時間は60分。つまり1キロあたり7分30秒で走れば目標達成となる。
登り基調のパートとなるが、まだ行ける!
ロープを使って降りる急な泥道。田んぼの見える風景。登りのトレイル。所々の記憶がどの順番で繋がるのかは覚えていない、とにかく必死で走った。
「なんでラストにこれ出すんだあー」
後ろに付く高橋君に笑いながら声をかけるも彼も必死な様子、静かに足音だけがついてくる。
GPSで距離と時間を見るが、全く頭に入ってこない。体感的に走るスピードは遅い。きつい・・・
たぶんラストはどんなに疲れていても飛ばすのだろうと思っていたが、そんな気力もないものです。
息を切らしながら急な坂を上がる。前方のランナーはみんな歩いている。続けてきたトレッドミルの坂練が頭と体をつなぐ。
「残り600m!」
オフロードから、舗装された国道に出た所でスタッフが叫んでいた。
沿道の応援も(そんなわけはないが)10時間のカウントダウンをしているような気がして必死に走りました。
_9時間59分32秒(我ながらドラマチックに寄せてきたなと感心)
早いランナーが沢山いるなか平凡な記録なのだけど、最後まで諦めず走れたことで自信につながったような気がします。正直レース中は長い距離にうんざりしましたが、1週間休んで体も復活した今は次のレースが楽しみ。よし、来週は100キロだ。
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